まだまだ認知の少ない障害福祉サービス。そのなかでも就労移行支援は誕生して間もない制度です。
そこで、私がよく質問される、就労移行支援の細かいルールや質問をご紹介いたします。
スタッフさん側も利用者さん側も知ってて得するの内容をお届けいたします。
※ここで紹介する内容は私の経験と実地で得た知識を元に執筆しております。市区町村の判断や法令の改変で通用しなくなることもありますので自己責任でお願いいたします。

この記事は就労移行支援を知っている人向けの内容です。制度の基本情報はこちらのページをどうぞ。
ー著者紹介ー
就労移行支援施設で働いているフクシー(@hukushiii)です。
精神疾患や発達障害をお持ちの方を中心に、年間100回以上面談をしております。
働きながら就労移行を使う方法

働きながら就労移行支援使う方法はありますか?教えてください。

あります。いくつかのパターンをご紹介いたします!
休職中の方
3つの条件を満たせば雇用契約した状態で移行支援を利用することができます。
以下がその条件です。
①休職中の方を雇用する企業、地域の就労支援機関、および医療機関が復職支援(リワーク支援)ができない場合、又は困難である場合
②休職中の方が復職を希望し、企業および医療機関側も支援により復職が適切と判断している場合
③休職中の方が就労移行支援などを利用することで適切なサポートが受けられると市区町村が認めた場合
この3点全てを満たしたら移行支援を利用することができるでしょう。
詳しくは厚生労働省PDFで公開されておりますのでお見逃しなく!!

実は最近まで認められていなかったパターンです。
休職している方で、就労移行支援を利用したい方にとっては朗報なのですが、注意点があります。
・条件の一部を市区町村が認めない場合がある。
→「就労移行が本当に効果的なのか?」という点などをついてくるパターンです。しっかり本人と企業の状況説明と事業所ができる支援内容を役所に伝えましょう!
・そもそも、このルールを知らない移行支援事業者が多い。
→最近のルールなので利用相談をしても「仕事していたらダメです」と言われてしまうことはあるでしょう。(その場合、このデータをお見せするとご納得いただけると思います。)

なお、無事復職し、職場定着した場合、「一般就労への移行者としても差し支えない」とのありがたい記載があります。事業者にとってもチャンスですね!
事業所には1冊は置いてあるでしょう。開業も試みる方はぜひ。
不定期な就労・収入しかない方
請負契約などで働いている場合で且つ、不安定な就労状態の場合移行支援を利用できることはあります。ただし、支給決定を受けることができる可能性はかなり低いです。(※雇用契約を結んでおらず、個人事業主でもない方であることが前提です。)
例えば、人材派遣への登録、ジョブクイッカー、Uber Eatsやタイミー、のように就職でもない、今後の生活が安定するわけではないお仕事をされている場合は働きながら、利用できる可能性があります。
なお、その判断についてですが、各市区町村で「この人は移行支援が必要!」と思われると支給決定がおりるみたいです。そのため、実質働きながら利用できます。
ただし、繰り返しになりますが、週一であれ、雇用契約を結んでいたら難しいのが現実です。
(副業の参考までにご紹介です。)

ごく稀な例なので、あまり期待はできません。ちなみに、隠れて働いている場合はバレます。隠れて働いていることが発覚する要因は様々ありますが、源泉徴収などから判明する場合が多いでしょう。
③就労移行利用中アルバイト等の雇用契約結んだ場合
こちらは、条件を満たすことで就労しながらも就労移行支援を利用することが可能です。理屈として、「週一のアルバイトで生活なんて無理!もっと働く日数も時間も増やしたい!新しい職種にもチャレンジしたい!」という考え方で、「まだ移行支援を使い訓練して、出勤日数増加、安定した仕事を探すしをしたい!」という理屈で移行を使うのです。
そして、具体的な根拠はこちら。(厚生労働省のPDFデータです)
抜粋すると、
- 就労移行支援を利用することにより、勤務時間や労働日数を増やすこと、又は新たな職種へ就職することにつながるか否か。
- 働きながら就労移行支援を利用することが利用者の加重な負担にならないか。
- 他のサービスや支援機関ではなく、就労移行支援を利用することが適当であるか否か
条件に当てはまる人はぜひお試しを!
※これも、市区町村での判断なので、「認められない」可能性は常にあります。このブログ、私はそこにおいて責任は負えませんので悪しからず笑

いずれのケースも特例です。そのため、お役所への問い合わせは必須となります。
工賃をもらえる就労移行はありますか?

就労移行で工賃(お金)もらえるところはありますか?

あります。ただし少数派。
結論:事業所による!
普通に就労継続支援B事業所のように、工賃支給しながら移行支援しているケースはあります。
個人的な印象ですがフランチャイズ系の就労移行支援事業所ではしてなさそうな印象。もし、探し方が分からなかったら、「リタリコ」もしくは「役所(市区町村)」「障害者就業・生活支援センター(≒就ぽつ、なかぽつ)」「相談支援員さん」などを駆使して一緒に探しましょう。

工賃がお目当てなのであれば、就Bの方が良いです。
利用者さんがフェードアウトした場合どうしたらいいか?(事業者向け)

利用者さんが来なくなり、そのままフェードアウト(音信不通)したのですが。どうしたらいいのかわかりません。

よくあることです。契約書の手順で契約解除しましょう。その後役所へ報告です。
まずは、連絡を取る努力をしましょう。フェードアウトなのか他にのっぴきならない事情があるかもしれません。
それでも無視し続ける場合、連絡が繋がらなかった場合は諦めて契約書に則って契約解除しましょう。(※よくあることです)
安全策として、通われなくなりましたーと役所に相談を行うと後々のトラブルを予防できます。トラブルというのは契約解除が不服だとかそんな事案です。

時間を取られますが、これも仕事と割り切りましょう。
働く気がない利用者さんはどうしたらいいでしょうか?

何かと理由をつけて就活や訓練をしない人がいるのですが、なにか手立てはありますか?

支援としては就労阻害要因の確認やアセスメントを取り直すなどご本人さんを一から見直すことがセオリーです。
これも残念ながら、よくあることです。こちらとしては、強制するようなことをせず、なぜそのように考えたか?ご本人さんの意思を確認することが第一です。
そこからの支援はケースバイケースで、答えのない世界になります。
人によっては、職種や業界の知識が少なく、働くイメージが湧かないだけかもしれません。また「働くことが怖い」「自分を諦めている」「就労に対してネガティブなイメージが強すぎる」「何度も失敗して嫌になっている」「就労支援施設に嫌いやながら通っている」「今の環境での就職はタイミングが悪いと思っている」などなど、書ききれないほど働かない理由をお伝えいただくことがあります。
移行支援に通所してから具合が悪くなることもあるでしょう。それでも諦めず、就職を目標としつつ、まずは生活リズムができているか?自分の特性を理解し受容できているか?PC操作やビジネススキルの訓練はできているか?就職対策をできているか?それぞれのパートを丁寧に進めて行きましょう。

厳しく聞こえるかもしれませんが、最終的には本人がするかしないか?だけです。他者の考え行動を強制することはできないのです。
支援者さんにも、利用者さんにもおすすめの”認知行動療法”を読みやすくまとめてくれている本です。
クローズ就労での定着支援方法がわかりません(事業者向け)

クローズ就労(障害を隠しての就労)で就職した方の定着支援証明の方法がわからないです。

給与明細の提出をいただくこと、もしくは在籍証明書を頑張って書いてもらいましょう。
クローズ就労での定着支援難しいですよね。さらに、そこから定着支援及び定着をしている証拠、書類が必要となります。給与明細は利用者さんから見せていただくことでクリアです。
しかし、たまに給与明細を渡していない会社もあります。そうなると在籍証明書をこちらで作成しその方が会社で働いていることを証明していただく必要があります。(面倒ですが…)
利用者さんの集客のコツはありますか?

利用者さんがなかなか集まらず苦戦しております。なにかいい方法はありませんか?

広報に経営資源を入れましょう。もし時間に余裕があるのであれば人的資源を使うといいかもしれません。例えば、挨拶営業に出るなど、さまざま試しましょう!
基本的には、どの事業所も広告には力を入れております。これは移行支援に限った話ではありませんね。詳しい集客方法に関しては、別記事で紹介しております。
広告費用の目安として、事業所の規模にもよりますが、毎月スタッフ2人分以上の広告コストをかけている事業所が多い印象です。
もちろん、利用者さんでいっぱいになったら予算を他に振り分けることになるでしょう。

事業所の強みのPRもできなければ見学に来ても逃してしまうでしょう。
こちらの書籍も事業所の運営に関して詳しく載っております。これはR3年度の改訂版で新しいのでご興味のある方はぜひ。
在宅でも就労移行を使えるの?

「在宅で訓練したい」と希望される利用者さんがいるのですが、そんなことできるのでしょうか?

認められたらできます。
在宅支援(訓練)をする理由があり、在宅でも通所時と同様の訓練ができる環境がある場合可能です。
その際、受給者証は「在宅支援用」のものを支給されるかと思います。また、在宅支援といえども、月に1回は通所または、訪問で振り返りなどをする必要はありますよ!
なお、昨今話題の新型ウイルスの件もあり各市区町村で独自で在宅支援(在宅就労)を認めていることがあります。
例えば、「感染が怖くて頻回に通所したくない」という方がいた場合、通所を強制することはできないでしょう。もしくは、支給を停止することも乱暴です。そのため、地域によっては在宅支援を認めている場合があります。この場合でも月に一回の通所、または訪問で振り返りをする必要はあります。
ただし、今後、感染対策としての在宅訓練が認められなくなる可能性は大いにありますのでご注意を!

在宅ワーク、リモートワークの求人が増えているので在宅に慣れることも重要ですね。
(最近は在宅副業も流行っているようですね)
まとめ
いかがでしょうか?
日々変化する現場と社会の中、事業所も役所も柔軟に対応できるようになったのはいいことである反面、基準が曖昧になりわかりずらいこともありますね。
そんな時はぜひ、役所や他の事業所スタッフ、経験者などに聞いてみましょう。自分で考えながら、他者に質問し必要な情報を集めることで疑問が解消できるかもしれません。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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