
利用者さんからよく聞かれる質問。少し答えづらく、誤解を与えないか心配になります。
なのでこの場で、ぶっちゃけてしまおうというお話です。
※あらかじめ断っておきますが、私は責任者及び、経営者ではありません。そのため、私の個人的な考えによる就労移行支援ビジネスとその収益性についてお話しいたします。
(立ち上げ検討の方はこの一冊は必携です、、)
実際に儲かるのか?
結論、人脈が豊富な経営者なら儲かる。と考えます。まず前提として、就労移行支援に限らず、どの福祉事業も経営者が持続的に経営ができるように国が制度を整えております。そして、国が想定する効果的な支援ができている限り利益もたくさん出ます。
人脈が豊富な経営者が儲かるというのは、別に就労移行支援に限らない話なのですが、私は特にそう思った次第です。理由は、多くの実習先・利用者さんの就職先を持っていることがかなり有利だと思うからです。この記事の続きに理由を少し載せましたので是非読み進めていただければと思います。

ちなみに、就労移行支援事業の立ち上げには最低限、資金と申請作業などの初期投資は必要です
ビジネスモデルについて
そもそも、就労移行支援などの福祉事業では、利用者さんからお金を頂かないことほとんどです。仮に利用料金が発生しても、利用者さんからのお金で事業を成立させていないということです。就労移行支援事業は国からの補助金で事業を成り立たせております。

そのため、無料もしくは金額の一部負担するだけで利用することができます。
具体的には、一人が通所すると国から約8,800円/日くらい貰えます。
それが定員20人の施設の場合、全員通所した計算で
8,800円 × 20人 × 22日(平日の日数) = 3,872,000円/月
となります。だいたい、380万円/月 となりますので悪く無い数字ですね。
ところで、この国から貰える約8,800円の補助金は事業所によってに異なります。例えば、立ち上げたばかりの事業所の場合、最低でも1日一人当たり8,800円の補助金を算定することができます。以下の画像及び、URLを参考にみていただくだけで結構です。ただ、画像やURLではわかりずらいと思いますので解説いたします。

この「3割以上4割未満」の横に「820単位/日」と書いていると思います。
これが基本報酬(≒補助金の単位)です。820単位とは、換算すると約8,200円となります。単位数に10を掛けるとわかりやすいです。※厳密には10ではないのですが、ここでは割愛します。
もちろん、これはあくまでも基本報酬です。どの事業所もこれだけでは経営しているわけではありません。ここからさまざまな報酬(≒加算)を貰います。例えば、「初期加算」や「福祉職員配置加算」「処遇改善加算」などさまざまな加算を算定していきます。それぞれの名称の説明は省きますね!
8,800円とは地域性はあるものの、諸々の加算を取り終えたらそのくらいの金額になるということです。報酬を逃さずとる事業所の場合、約10,000円(1万円くらい)を開所時から算定しているところもあります。

報酬をしっかり算定することもお仕事です
(間違って報酬を算定すると厄介なことになるので理解を深めることが吉です)
よくある質問:報酬高すぎ?

1日1万円なんて税金のムダ使いじゃない?
良い塾でも毎月1万円くらいだと思うのですが…
よく「基本報酬が高くないですか?」であったり、「儲かっていいですね」と言われることがあります。これらの質問に対して、ポジショントークかもしれませんが、私はそうでもないと思います。

経費と利用者数を考えると意外と無駄が多いわけではありません。
よく塾などと比べられるのですが、そもそも職員数も生徒数(利用者数)も違います。また、就労移行支援は国から補助金をいただくので注意しなければならない点が多いです。まず、職員数は国から指定された人数以上を配置しなければならないです。つまり、ワンオペはNGです。(そもそもできませんが…)また、職員数はアルバイトなどで人数だけ揃えてもだめです。それぞれの人員配置で毎月決められた時間数以上働いてもらわなければいけません。
アルバイトやパートさんがいることには問題はないのですが、どの事業所でも一定の時間それぞれの役職の職員が働かなければいけません。

就労移行支援ビジネスする上で一番大きな経費である、人件費の削りすぎはそもそも難しいです。

でも、人を雇えるくらいの報酬は国からでていますよねぇ?
やっぱり税金のムダじゃないですか?

私の事業所の場合、正社員だけで8人を超えてます。職員の給与を下げ額面20万円を8人に支給した場合160万円です。(実際は会社折半負担の厚生年金や雇用保険などでもっとコストがかかります)
そこから、事業所の賃料、事業所の保険料、光熱費、広告費、PC料金、通信費、システム利用料金、その他諸々が毎月経費としてかかります。これだけで軽く200万円は吹っ飛びます。

さらに、利用者さんが就職したら、通所しなくなるので、前述した理想値380万円には届かないです。また、そもそも毎日通所できる人は少数派です。そのため、理論上の最高値を毎月狙えるわけでは無いのです。それに利用者定員は基本20人が多いですし。

でも、さっき儲かるって言ってたじゃない?

集客や効果的な支援、報酬の算定、さらに就職させることができれば儲かります。そのように制度が設計されているというお話しです。
就職させるのはなぜ?

就職させたら報酬が減るんじゃないの?通所させて儲けるんでしょう??
怪しいわぁ。

実は就労移行では、就職させ、職場に定着させれるかが肝心です。今から説明します。
就労移行支援には、通所していただいた日数だけ報酬をもらえるのは事実なのですが、利用者さんは就労するためにこのサービスの利用を希望されます。国としては利用者さんを囲い込むようなことはさせたく無いのです。そこで、一定期間の間に、一定人数を就職させ、半年間企業に職場定着させることに成功した場合にはなんと基本報酬がプラスされるという制度があります。
反対に、就職させれなかった場合、報酬が減らされます。

ここで報酬が減らされた場合、撤退を余儀なくされることもあります。それくらい厳しいです。感覚で言うと8,800円が5,500円もしくは4,600円にまで下がる可能性があり、通常の半分以下になる可能性があるのです。
一定期間とは1年です。一定人数とは定員の3割以上が8,800円の基準ですので、20人定員の事業所の場合1年で6人です。

なるほど、でもたった6人程度だったら問題ないのではないか?

6人全員が就職して仕事を辞めなければいいのですが、それでは見通しが甘いです。仮に一人離職した場合、次年度の報酬が減らされるので事業計画が狂います。そのため、6人以上就職してもらうことが一般的です。
毎年6人以上就職させ尚且つ、早期離職などミスマッチのないように半年以上の間定着していただかなければ条件を満たせません。条件を達成できなかった事業所の次年度報酬(≒補助金)は減らされます。ちょうどピッタリ6人就職したとしても就職後のケア、定着支援もしなければいけません。これは就労移行支援事業所の努力義務です。

人手は定着支援でも取られます。ちなみに、定着支援は基本報酬が出ません。定着支援事業所でなければ報酬の対象外です。

もちろん、就職者が出てくるということは、新利用者も募集しなければいけません。利用者さんの募集は大変です。どの事業所たくさんの広告費をかけてます。

では、楽に儲かるというウワサはいったいなんなのでしょうか…?

私の解釈で、ご説明いたします。
楽して儲けているという噂はなんなのか?
これはよくある誤解なのです。そもそも簡単に儲かるのであれば、皆このビジネスに参入します。で、意外かも知れませんが潰れていく就労移行支援事業所もあります。私が考えるに、このウワサの正体は、就労移行で国に対し不正請求をした事業所のニュースや利用者さんへの粗悪なケアを行う一部の事業所が原因だと思います。
どうしても一定数そのような事例がでてくることは事実です。ただ真っ当に支援に携わっている職員から言わせれば、楽なんて思わないです。また経営者としてもここでは書ききれていないリスクを常に背負うこととなるので、やりがいがあるかもしれませんね!

ルールを守って楽しく仕事をしましょう
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