就労移行支援と検索すると「就労移行支援 意味ない」「就労移行支援 最悪」「就労移行 ひどい」のようなネガティブな関連ワードが出てくることが多いです。本当にそうなのでしょうか?
就労移行支援施設の支援員として働いている私からみて、どうなのか?
本当に、就労移行支援施設は意味がないのか、書かせていただこうと思います。
ー自己紹介ー

就労移行支援施設で働いている支援員。(@hukushiii)です。
精神疾患や発達障害をお持ちの方を中心に、年間100回以上面談をしております。
就労移行支援が無駄だと思われている理由
就労移行支援を使ったのに就職できなかったから(できると思えなかったから)
「就職できなかった」
結局、この理由が一番多いのではないでしょうか?
就労移行支援施設を利用しているのに就職できなかったら不満を持つのも無理はありません。
実際に、就職できなかった人は少なくないと思います。
当然、就職できなかった理由は諸々あると思いますが、その矛先が、就労移行支援に向いたパターンがあります。

就職できない理由として、支援員の力不足であったり、支援内容(カリキュラム)のレベルが低く就職につながらなかったと言ったお言葉を聞くことがあります。(弊事業所に限らずです。)
就職したけどすぐに辞めてしまったから
せっかく就職したのに続かなかったパターンです。
就労移行支援事業所から就職したのに長続きしないこともよくあります。

この場合、就労移行支援の定着支援が上手く行っていなかったパターンや
自己分析や企業分析をしっかりできていなかったケースもあります。
通所中に納得のいく就職対策ができるかがポイントです。
ミスマッチを予防として、タイミングがあえば、企業実習やトライアル雇用に行くこともできます。
また見学を許可している企業もあるので、後悔のないように就労移行支援を活用したいですね。
簡単な作業ばかりで能力が身につかなそうだったから
・単純作業ばっかりで馬鹿らしくて辞めました!
・当たり前なことばっかりでうんざりしました!
このような意見も多いです。
訓練内容の不一致を理由に私の働いている事業所へ通所を希望される方もいらっしゃいます。
しかし、これは事業所選びの失敗です。
というのも、就労移行支援施設は事業所ごとにさまざまな強みがあります。
意外かもしれませんが、どの就労移行支援施設も訓練内容やできることが同じという訳ではありません。
もし、事業所を探しているのであれば、最低限以下のポイントは確認しておきましょう。
- どんな作業・訓練をしている事業所なのか(講座、映像授業、内職、軽作業、その他プログラム)
- スタッフさんの人柄が合うか(話しやすいか、相談しやすいか、知識は豊富か)
- 他の利用者さんと雰囲気が合うか(どの障害種別が多いか、攻撃的な人がいないか)
- 自分の希望する学習環境か(通いやすさ、wifi環境、騒音)
- 利用者さんの就職先と自分の希望する就職先とマッチするか(事務、介護、清掃、営業、接客、軽作業など)

それぞれの事業所に個性があるので、複数の施設の見学に行くことをオススメします。
お金がないから
これは就労移行支援施設のルールを知らない方からすると不思議かもしれません。
簡単に説明すると、就労移行支援施設は通所の条件があります。
原則、仕事をしていない人しか通所できません。
さらに、障害を持っているか、特定の診断がでている状態でなければ通うことはできません。
そのため、就労移行支援施設に通っている時は基本的に経済的に余裕がないのが現実です。
さらに、一部の方は利用料金を自己負担しながら通うこともあります。

利用料自己負担がかかる条件は厚生労働省HPから確認できます。
通所の際に、お金に困りにくいパターンとして、実家暮らしの方、生活保護受給者、障害年金受給者、貯金がある人などがいらっしゃいます。
上記に当てはまらない場合、経済的に苦しくなり通所できなくなります。
(個人的にこのルールは残念に思います)
結局、就労移行支援には意味がないのか?
個人的には就労移行支援施設は役に立つと考える
これは現役支援員のポジショントークに聞こえるかもしれません。
確かに、実際に利用して不快なお気持ちになった方も大勢いらっしゃるでしょう。
一方、就職できた人やスキルが身についた人、生活の基盤が整った方(習慣や生活リズムなど)もいらっしゃいます。
役に立つかどうかは、自分にあった施設を選べているかどうか、
そもそも就労移行支援に向いていない人がいると言う点が大きく影響します。
就労移行支援に向かない人
通所しない(できない)人
厳しいことを言います。通所しない(できない)人は就労移行支援に向いていないです。
理由はシンプルですが、訓練できないからです。
就労移行支援は、職業訓練制度です。
そのため、スキルの向上、日々通勤し働くための体力の養成、メンタルを整えてから就労(一般就労、在宅、企業など)を目指します。

毎日通所できなくても大丈夫です。
少しづつ通所日数や学習時間を増やしましょう。
ある意味、通所しても学ばなければ通う価値がない施設と言えます。
(どの訓練施設でも同じですが)

もし、訓練の必要がなければ個人で求人検索して就職した方が早いです。(オススメ)
施設を利用しなくても、スマートフォンやPCでハローワーク、人材紹介会社、派遣会社、求人サイトなど、事業所がなくても就活ができるサービスは溢れています。
もちろん、障害者雇用も検索するとたくさんの求人がヒットします。
短期間で就職しなければならない人
経済的に余裕がなく、すぐに就職して稼がなければならない人です。
上記で説明した通り、就労移行支援を利用している間は、原則、仕事しながら通所できないです。
また、人によっては利用料がかかります。
すぐに就職を目指すのはいいのですが、通所している間に家計が苦しくなるでしょう。
そうなると、事業所の訓練を十分に受ける時間が確保できないと考えられます。

早い人は3ヶ月程で就職しますが、個人差が大きいです。
訓練・学習に意味を見出せない人
割と盲点なのですが、訓練は結構地味です。
そのため、「当たり前なことばかりしてる!」「こんなことしても意味ない!」と思う人も少なくないと思います。
実際の訓練では
- 日々の通所
- タイピング練習
- 社会人のマナー
- 対人関係
- 日常生活
- 感情のコントロール
- 身だしなみ
- 体調管理
- 金銭管理・自己理解
など、基礎中の基礎と言える訓練を、ほとんどの事業所が取り入れてます。

実際に働いている人でも、全部できている人は少数派だと思います。
そのため、不必要な訓練に感じられることでしょう。
しかし、就職を目指すのであれば、ある程度の社会人基礎力は必要です。
私は、実際に障害者雇用をしている企業さんや特例子会社の人事の方からお話を伺うことがありますが、
少なくとも日々の通勤、報告連絡相談、自己管理ができており、トラブルを起こさない人でなければ採用は難しいと伺っております。
その上で企業が求める能力があるかを面接で問われます。
まとめ
就労移行支援と検索して、ネガティブな記事がたくさん出ると不安になると思います。
実際によくない事業所もあるでしょう。
しかし、それはその人にとって良くない事業所である可能性があることを考えてください。
結局、その施設が合うか合わないか。
その施設を適切に使いこなせるかどうかが問題なのだと思います。
判断がつかなかったら、複数の施設に見学と相談をしてください。
嫌だったら、何が嫌なのか自分なりに分析し退所手続きをしましょう。

ネットの評価を鵜呑みにするのではなく、自分の目で確かめることをお勧めします。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございます。
コメント