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【疑問?】国が想定している就労移行利用者の働き方について

ビジネス

現在、国が想定する障害者の働き方

はじめに、就労移行支援は原則2年間利用できる就労を目指すための障がい福祉サービスです

(就労移行支援について詳しくはこちらの記事へ)

しかし、厚生労働省が事業所の成績として認識する”一般就労”とは”雇用契約を結んでいることとなっております。

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要 こちらの資料43ページ目に載っております。

細かい資料で読みづらいと思うので解説します。

簡単に言うと、アルバイトでも正社員(障害者雇用を含む)でも雇用契約が結ばれていれば、就労したと国が事業所に認めるということです。

一方、個人事業主フリーランスとして働く利用者さんを国は想定していないこととなっております。

この件は、就労移行支援の制度を知らない方からすると何が問題なのか分かりずらいと思います。

そこで、次の章で簡単に就労移行支援のビジネスモデルを紹介後、問題点をわかりやすくお伝えしていきますね。

【筆者の自己紹介】

<meta charset="utf-8">フクシー
フクシー

就労移行支援施設で働いているフクシー(@hukushiii)です。
精神疾患や発達障害をお持ちの方を中心に、年間100回以上面談をしております。

国の想定の問題点

就職でなければ、「基本報酬(≒売上)」が上げられない点です。

それはアルバイトやパートで働く方よりも収入を得る見込みのある利用者さんを事業所から出した場合でも

国は事業所の成果を認識することはありません

この問題点について

次で紹介する就労移行支援のビジネスモデルを見ていただけるとわかります。

就労移行のビジネスモデル

そもそも、就労移行支援は利用者さんが通所することで基本報酬(≒売上)を稼ぐビジネスモデルです。

就労移行のビジネスモデルの詳細についてこちらの記事をご覧ください)

その基本報酬を上げる方法は大きく2つ

  • さまざまな報酬を得る(≒さまざまな加算を算定する)
  • 基本報酬を増やす(≒就職実績の基準をクリアする)

前者の方法で報酬(≒売り上げ)を得る方法は当然どの事業所もしなければなりません。

しかし、実は後者の基本報酬(≒通所の売上)の方が圧倒的に高単価なのです。

そのため、どの移行支援事業所も「基本報酬を増やす戦略」を採用します。

Q:基本報酬を増やす方法はなんですか?
A:多くの利用者さんを就職に繋げ半年以上仕事を続けることができるように支援することができれば増えます。

そのため、移行支援事業所としては「長く通所して欲しい」「毎日通所して欲しい」と考える一方、、、

就職に繋げなければ報酬を下げられるので経営が成り立たない」というジレンマを抱えております。

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フクシー

つまり就職につなげ続けると良いんですね。

問題点

就職でなければ、「基本報酬(≒売上)」が上がらない点。

この制度では、利用者さんが就職後に稼げている金額はなんでも良くて

半年間以上雇用され続けさえすれば基本報酬が上がってしまう

という事態が発生しております。

たとえば、アルバイトやパートの就職者をたくさん出すことができれば、国からの基本報酬が上がります。

しかし、アルバイトやパートで働く人より収入を得る見込みのある個人事業主(開業届を提出している状態)の利用者さんを事業所から輩出することができても基本報酬に一切影響しません

そのため、障害者への就職支援は実質”どこかの企業へ雇用されること”が前提となっております。

その前提があるため、
現状、就労移行支援事業所のサービス内容が就職させることに特化させざるを得ません

就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準について≪論点等≫ 令和2年9月24日には会議の議題に上がっていたのですが、この時に「雇用だけ認める」とされております。
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フクシー

市区町村の役所に事業所の実績として認めることができないか電話交渉しましたが、認められませんでした。

まとめ

(令和3年度)現在、就労移行支援事業の経営者が報酬算定を目的として個人事業主やフリーランスの訓練・支援をするメリットはありません

多様な働き方を実現したい事業所でも、在宅ワーク(在宅就労)支援が限界でしょう。

(制度が改正されるまで一旦このままです)

どの制度にも問題点は常にあるものだと思います。

時代は変わっていきますし、人が計画するものなので取りこぼしも不公平も生まれてしまうでしょう。

その中で如何に取りこぼしの少ない、臨機応変な支援をするかが支援の中で求められると考えます。

<meta charset="utf-8">フクシー
フクシー

実現可能な選択肢を多く提示できる支援事業所が増えるといいですね!

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